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短歌新人賞応募歌


50代では新人でもないのかもしれません
歌詠み始めたのが二年前で,
応募したのが一年半のときですから、現実的には新人ですけど
でも、私より年齢の高い方が応募していましたから、80代の方も居たからなー、
なんともいえないか

予選通過しましたけど、落選しました
落選歌を載せて起きます

表題 かしましの森

草も木も声だし話し始めたら森はたちまちかしましの森

あかあかと朝日は山を昇りきて極楽浄土に落ちて行ったよ

山越えて股割り松の間よりお天道様に手を合わせたり

慈悲ぶかきお天道様は誰彼と隔てもせずに照らしてくれる

うす黒き茶碗の中にお日様は赤い夕日を落としてくれた

あの白い雲の中より雪ん娘が降りてくるのは知っております

久々の朝の日差しは眩しくて冬がどんどん溶けだしている

しんみりと雪ふる朝に名の知らぬ鳥にパン屑撒いてあげたよ

立春になってしもたが雪さんは消えずにいまだ残っているよ

大雪も春ともなれば溶けだして稲田をみたす恵みの水よ

早乙女がケツを突き出し田植えする春の景色も無くなりにけり

はやいでし土手のバンケを摘み取りて夕餉の膳に乗せたまいけり (バンケーふきのとう)

がさごそと雑木の森に入り込み春の恵みのタラの芽をとる

山椒の葉っぱにニシン漬けこんで酒の肴を作っておるよ

山椒は山の社の裏やまで狐に内緒で摘み取ってくる

にぎりめし水も手拭も無いゆえに小便したる手で食うており

うとうとと椅子に座って寝ておればよだれ垂らしてコクリと覚めた

夢の中美女らしきひと現るが顔が見えずに謎のままなり

夢中にて美女と情交まじわせど最後の一線こえずに終わる

夢なれば時計が流れ像も飛ぶそんなことさえ許されるのだ

穏やかな心地したれば見る夢もさ乙女あらわれ微笑みており

膝のうえ座した乙女の柔らかき肌のむくもり起きて忘れず

神様はどこの国でも同じで温和な顔をしてござるなり

腰布を一枚こしにはばかりてキリスト様は神になりたり

神仏に祈り拝めど宝くじ当たりもせずに20年すぐ

砂漠には砂漠の神がおるゆえに万の神はいらないのだよ

寝たままで悟りをさとす御仏にあずかり我はねて夢をみん

もしかりに極楽浄土あるならば唱え申さん南無阿弥陀仏

幸せは茶碗の中のシジミ汁目玉二つが浮かんでおるよ

一本のバナナを前に考えた今日の食事はこれだけかよと

重たげに亀は甲羅を乗せておる我は生活背負って生きる

ほっかぶり被った地蔵穏やかにいつもの場所に立っておりたり

約束の帽子を持って道端の地蔵の頭にかぶせてやった

約束は守ってこそはやくそくと喜ぶ地蔵眺めておるよ

禿げあたま叩いてみればコンコンと酒飲み野郎の音がするなり

とりあえずビール一杯飲み干して今日の仕事にけじめをつける

若くして酒飲み五一(ごいち)は死んだのであいつはいつも若いがままよ

うすぐらき夜の帳が下りる頃あかい提灯よんでるような

今宵また夜者になって彷徨えば縄の暖簾が手招きしてる

人の世は言葉ひとつでいかにでも変わるものだと思っています

言葉とは恐ろしきもの一言で人格さえも破壊せしめん

今晩はトウヘン木が泣いておる悲しかなしとなき暮らしてる

声上げて泣きたい心押さえ込み男はみんな悲しきものよ

泣きになき涙もかれたその後は悲しみさえも笑うしかなし

ネエ君よ人間ならば死ぬことはみんな一度は経験するよ

人の世の定めというは不変なり我も死にたり君も死にたり

行く秋の草の褥に死のうともそれはそれとて定めと思え

一人では生きてゆけないものだから妻を娶りて子をもうけたり

なるほどよ今日という日は明日より一日早く来る日なのかよ



磯さんワールドを

最後まで読んでくだされて、ありがとうございました

お疲れ様でした