戻る

磯さんの歌


短歌研究新人賞落選歌


30首の連作が条件でした、連作というのは、結構面倒くさいものでした

記念にホームページを作って、載せておこうと思います
誰か見る人がいるのかな


表題
磯さんの歌

いかほどに名歌秀歌をならべれど心やすらぐ歌にかなわじ

俗語など一杯つこて歌詠んで一人ほくえむ磯さんでした

男らの観音様は女体にて布団の中に納まっており

まぐわいは神聖にして厳かに神の御前で行うがよし

初恋は清く正しく美しく肉欲などは思わなかった

しゃがみこみパンツはみだす乙女らを右目で見れど色情いたさず

ずぶ濡れの我にみよぞと雨あしはここぞとばかり降りそそぐなり

びっしょりと濡れて歩けば秋雨は心の中まで冷やしてしまう

一本の傘に守られ降る雨に濡れずに町を歩いています

地球とて大きおおきな巨人らの箱庭の中飼われているやも

落日の燃えたつ雲の切れ間より眺める者は巨人の瞳

いやなこと帽子で禿げを隠すよに被ってしまえば楽になるかも

毎日が貧乏神が住むごとくお暇な夜を過ごしています

間引きなどせずとも人は来ぬゆえに十分ごらんごろうじあれよ

歳月は帰らないからつとつとと我も日ごとに歳とっておる

悪の芽がチョロチョロチョロと芽を出せば戒めながら生きております

いかように頼まれようと出来ぬこと子供は生めぬ子種ならある

その昔死人を焼いたその場所に大きな家が建っておったよ
  予選で選ばれていた歌
死ぬときは一つ二つの秘密など地獄の果てに持っていこうや

髪ひとつ残さず死ねば禿げ頭ひかり輝き後光がさすや

紋付の衣まといて酒樽は新年祝いちんざしておる
  紋付ー酒蔵の紋
角うちの隅に塩のせ飲みおれば金なき我も正月気分
  角うちー枡
あるがまま寒の椿も雪の中しずかに春を待っております

上場の記念にもろた饅頭はテンテル様に上げたてまつらねば

小粋にも一筆啓上鳥海に雲一文字の春の朝なり

いつ見ても並んで座るお雛様向かい合わせてお話させた
  予選で選ばれた歌
虫さんはみんな迷子になっちまい草場の影で泣いております

人生はお尻の下にあるのかもドッコラショット乗っております

一本の線香より立ち昇る一条の煙に祈りをささぐ


以上